感じたこと 〜精神医療と向き合った医師とその妻〜
先日、映画『精神0』を観てきました。
まずはこの映画が
観察映画
ということもありいつも観るような編集が行き届いた映画ではなく
まさに
日常が切り取られている映画でした。
岡山県で精神医療を生業とする山本医師の引退を取り上げた作品なのですがこの山本医師の医師としての患者との向き合い方がなんとも慈しみ深いものがあり、患者に愛されているのだなぁと心底感じられる映像が序盤に流れていました。
特に
『山本先生が引退したら僕はどうしたらいいんでしょうか?』
との問いを投げかけた患者の胸中は理解することが容易く、本当に心の底から山本医師を支えに生きてこられたことが伝わってきました。
実は私は障がい者スポーツに関わっており、日常的に精神医療を受けている方々と接する機会があります。
ともすればなかなか理解が難しい言葉を投げかけられたり、会話のキャッチボールが成立しなかったりする場面も珍しくありません。
そんな精神医療を受けにくる患者の方にまさに真正面から向き合い、寄り添う姿勢が自然と出来ているのが山本医師でした。
そんな山本医師も80をゆうに超え、医師として引退し、長年連れ添った妻とのまさに『老後』を迎えるスタートを捉えた映画でした。
その妻も認知症を患い、まともにコミュニケーションが取れないシーンも当たり前の日常のようになっています。
時折り、山本医師と奥様の若かりし映像も流れ、時が経つことの切なさ、老いとの向き合い方を考えさせられる瞬間もありました。
長い時間精神的な病と戦っている患者さんと向き合い、今は自分の妻の現実と向き合いながら常にその時々に向き合っている人にその都度寄り添っていくことが医師として、1人の人間としてもとても大事なことだと感じさせられました。
最後の老夫婦2人でお墓へ参るシーンでは足元に段差があり歩きづらいところも妻の手を引いてエスコートする山本医師から2人の強い結びつきを感じました。
途中奥様の友人が出てこられたシーンでは若いころ山本医師の仕事の関係で患者を自宅へ泊める際、お子さんのこともあり夫婦で喧嘩し、離婚も考えたとのエピソードも登場し、たくさんの『精神』を支えてきた山本医師ですら家に帰れば1人の夫であり父であることにもハッとさせられました。
もし私が理想の夫婦関係は?
と聞かれたらきっと今は正解は出せないけど将来妻と一緒に歳を重ね、お年寄りと呼ばれる年齢になったころ2人で仲良く手を繋ぎながら散歩に行けるようなそんな2人であったなら良かったと思えるんじゃないかなぁと答えます。
そのために日々、妻へ子どもたちへ家族のみんなへ感謝と慈しみの心を忘れずに歳を重ねたいと改めて思えた映画でした。
コメント